2ntブログ

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

エロなし

5KB

「これが何か、わかるか?」

未だに嘔吐を続ける私の目の前にダミアンは、ニワトリの卵のような物体を突きつける。
それは色は茶褐色で、軟体動物がはった跡のようなヌメヌメとした奇妙な光沢があった。
そして表面は無数の血管か植物の根をはりつけたような凹凸で埋めつくされている。
誰もが見ただけで吐き気を覚えるような、おぞましい物体だった。
……ア……アレは……まさか……!?

「こいつは蠱蟲(こちゅう)の卵だ。蠱蟲は知ってるな?」
「………………ああ」

何とか答えを絞り出すと、ダミアンは嗜虐的な笑みを浮かべた。
きっと私の顔は蒼白になっているに違いない。
蠱蟲。
魔族が人間の怨念・妄執・厭悪を材料にして作ったと言われ、最低最悪の媚毒として非常に有名。
使用しなくても所持しているだけで、厳罰を与えられる危険生物。
犠牲者を実際に見た事はないが、その様子を記した書物は読んだ事がある。
何度も読むのを中断せざるを得ない、極めて悲惨な姿が記されていた。

「こいつに寄生された女を1度だけ見た事があるが、色情狂としか表現できないキチガイだったな。朝から晩まで一晩中、男をくわえてやがった。男が寄生されたら、どうなるのかな?」

ダミアンはおかしくて仕方ないというように喉の奥で笑いを噛み殺しながら、私の耳元でささやいた。
……貴様こそキチガイだ。
人質を取られてなければ、間違いなく罵倒しただろう。
罵倒ですまさず斬り殺したかもしれない。
あのミーナ様の息子とは思えないクズ。
自分に従わない人間を屈服させるために、蠱蟲を使うなんて……!

「オレを新王と認め、オレの親衛隊の隊長になり、オレの夜伽を務めるか。これに寄生されるか。好きな方を選べ。返事は明日ま

で待ってやろう。人生をかけた決断だからな。よく考えて」
「考える必要はない!」
「……ほう。どうする?」
「蠱蟲に寄生される。貴様のオモチャになってやる。ただしビクトルたちに手を出さないと誓え。指1本ふれてみろ。必ず殺す」
「………………くっくっく……! 本当に面白い男だな。よかろう。お前の許可が出ない限り、カワイイ恋人たちには手を出さない。神々に誓ってやる」

蠱蟲は宿主が死ぬまで活動を続ける。
蠱蟲に寄生されている限り、どれだけ苦しくても、狂うことも自殺する事もできない。
老衰で死ぬまでの長い時間、男に嬲られ続ける事になる。
……それでもダミアンに仕えるよりはマシだろう。
プライドを捨てて送る、平穏な人生など真っ平だ。

「おい。入れやすい体勢にしろ」

ダミアンの命令を受けた兵士たちは、あわてて私の身体を拘束する。
左右から手首を押さえこみ、上側にひざまずいた男の膝上に頭と肩を乗せられて、自分の下肢が目に入る姿勢を取らされた。
顔を背けられないよう、頭部もガッシリと固定された。
……ずいぶん慣れているな。
兵士たちの素早い動きにあきれる。
ダミアンが兵士達に協力させて、気に入らない人間を犯すのは、どうやら日常茶飯事らしい。

「立派な騎士様が家畜に堕ちる瞬間だ。お前ら、目に焼きつけておけ」

限界まで広げられた足の間に身体を入れたダミアンは、手に持った蠱蟲を見せつけるように持ち上げた。
恐怖感を与えたいのか、なかなか動かさない。
……さっさとしろ、愚か者。
私がそんなことで動揺する人間に見えるのか?
人を見る目がなさすぎる。
こいつが玉座にいるのは長くないだろうな。
魔族に裏切られて殺されるのが目に見える。

「……入れるぞ」

私が何も反応しないのに苛立ったダミアンは、乱暴に蠱蟲を肛門に押しつけた。
排泄器官に潜り込もうとする異物に、猛烈な吐き気を覚える。
苦しげな顔を見せるとダミアンが喜ぶと我慢していると、蠱蟲はまるで意志があるかのように自ら形を変え、ダミアンの手から私の

体内に移動していく。
……ぎもぢ、わるい゛……!
ヌルリとした感触と気色悪い凹凸に、ますます吐き気が強まる。
人外の生物に身体を侵されることに、本能的な恐怖と苦痛を覚え、視界が赤黒く染まっていく。

「うまく奥まで入ったな。一月ほどで孵化するらしい。指折り数えて待っていろ。その時が、お前の新しい人生が始まる時だ。本当の自分に会わせてやる」

蠱蟲を体内に入れ終えたダミアンは、兵士にいくつかの命令を与えると、興味をなくしたように牢を出て行く。
その後わたしは風呂に入れられ、傷も治癒魔術で治された。
そして新しい監禁場所に連れて行かれた。

「ラシェル様!? ご無事でしたか……!」

連行された物置のような小部屋には、私の部下であり、恋人のビクトルがいた。
一目で強姦されたと分かるビクトルは、自分の酷い有様など全く気にせず、ひたすら謝罪しつづける。
ビクトルを救おうとして私が捕まり、蠱蟲を寄生させられた事を、ダミアンが説明したらしい。
……姑息な真似を。
ビクトルを非難し絶望させ、私とビクトルの関係を裂くのが狙いだろう。
あまりにも見え透いた手口に怒りを通り越して、あきれてしまう。
そんな方法で私の心が手に入れられると、あいつは本気で思っているのだろうか。

「私は大丈夫だから、もう泣くな。私があのような卑劣極まりない男に負けるワケがないだろう。どうしても自分が悪いと思うのなら、いつも以上に笑顔を見せてくれ。お前の笑顔が私の最高の娯楽なのだからな。それとも私にはもう、笑顔を見せたくないのか?」
「そっそんなことは……! でも……僕……僕!」

1度は泣き止んだビクトルだったが、すぐに再び泣きはじめた。
優しく抱きしめてやると、痛いほど私に抱きついて、声を上げて泣きわめく。
人一倍マジメで責任感が強いビクトルにとって、今回のことは酷くこたえたようだ。

「ラシェルさま……申し訳ありませんが……」
「ああ。すまない」

ここに私を連行した2人の兵士は、本当に申し訳なさそうに頭を下げ、しばらく頭を上げなかった。
ようやく顔を上げると、苦虫を噛み潰したような表情で、私を拘束していく。
記憶にない顔だが、もしかしたら私が指導した兵士なのかもしれない。
……当然だが全員がダミアンに心から従っているワケじゃないようだな。
隙を見てダミアンを殺し、マルコたちと協力して魔族を滅ぼせば、元の神聖ローラ王国に戻るはずだ。
戻さなければいけない。
それが神聖ローラ王国一の家柄を誇る名門に生まれた、私の使命だ。

Appendix

Categories Archives

Profile

AZAEL

FC2ブログへようこそ!

Extra

プロフィール

AZAEL

Author:AZAEL
FC2ブログへようこそ!

最近の記事

カテゴリー

FC2カウンター

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索