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神聖ローラ王国

6KB  エロなし

マルコ……男 17 魔術師
シオン……男 17 剣士
ハンス……男 10? 魔族
ニーナ……女 40 神聖ローラ王国の王
ダミアン……男 24 ニーナの息子 第一王子
カリーヌ……女 21 マルコの姉
コレット……女 14 シオンの妹
セシル……女 25 ニーナの娘 第一王女 
ミレーヌ……男 17 ニーナの息子 第二王子
レオナール……男 25 ダミアンの側近
リゼット……女 15 ニーナの娘 第二王女 マルコの恋人
ステファーヌ……男 ? レオナールの部下
ゾエ……同上
デジレ……同上
ドニ……同上
バルバラ……女 20? 魔族
ビクトル……男 28 マルコの師匠
ブレーズ……男 47 シオンの師匠
マリユス……男 65 フビライ帝国の皇帝
メラニー……男 17 シオン・マルコの友人
ラシェル……男 19 マルコ・マルコの友人 マルコが好き
ルイゾン……男 53 大臣
ロロット……女 22 ルイゾンの娘





「僕に国王なんて無理です! 考え直してください!」

僕は神聖ローラ王国の第二王子、ミレーヌ。
憂鬱な顔で僕の悲鳴を聞いているのは、神聖ローラ王国の15代目の国王ニーナ。
僕の母親だ。
僕の父上――14代目の国王が急死してから10年、国を栄えさせつづけてきた名君。
今年で40歳になるとは思えないほど若々しい。
……あと半年の命には全く見えない。

「兄上や姉上がいるじゃないですか!? リゼットもいますし……!」
「ダミアンやセシル、リゼットが国王になれば、必ず神聖ローラ王国は傾くでしょう。もしかしたら滅びるかもしれません。貴方はダミアンたちが王位にふさわしい人間だと思いますか?」
「そ、それは……」

厳しい口調で問われ、言葉に詰まる。
確かに兄上たちが国王になるのは不安だ。
兄上は良く言えば勇敢だけど、悪く言えば粗暴。
姉上は頭がいい代わりに、あきれるくらいプライドが高い。
リゼットは優しすぎて、精神的に無理そうだ。

「で、ですが、僕なんかに国王が務まるでしょうか?」

僕は自分で言うのは何だけど無能だ。
剣は全く使えない。
魔法も少ししか使えない。
頭もあまり良くない。
『ダミアン様やセシル様に比べてミレーヌ様は……』という陰口を何度も耳にしている。

「国王は中途半端な能力では務まりません。国王が務まるのは、よほどの天才か無能です」
「………………」

意外すぎる言葉に何も言えない。
そんな僕を見て、母上はニッコリと微笑んだ。

「1人の国士と見ればダミアンもセシルも優秀です。貴方より確実に上でしょう。しかし、あれくらいの能力では国王は務まりません。むしろ、あの程度の能力は治世の邪魔になるでしょうね」

兄上たちに劣等感を持ち続けてきた僕には、全く信じられない言葉。
だけど母上の目は真摯そのもので、僕をからかっているような気配は微塵も感じられない。

「それにダミアンたちはフビライ帝国の圧力に対抗するために、魔族の力を借りようとしています」
「それは、ただの噂では……? もしかして、事実なんですか?」

僕の質問に母上は、沈痛な表情でうなずいた。
そんな……。
神聖ローラ王国の東に位置するフビライ帝国は、昔はフビライ公国という小国だったらしい。
その小国で40年前、マリユスという軍人が軍事クーデターを起こした。
それから40年。
フビライ公国は何十倍にも領土を広げ、公国から王国、そして帝国に名前を変えて行った。
そして去年、神聖ローラ王国との同盟を破棄して、大軍を国境に移動させた。

「確かにフビライ帝国は強国です。しかし我が国の力なら、魔族の力など借りなくても、互角以上に戦えます。猫を追い払うのに虎を招く馬鹿が、どこに存在しますか」

母上は目の前に兄上たちが存在するかのように怒っている。
普段は穏やかな表情しか見せないのに……。
死期が迫り、焦っているんだろうか。

「……わかりました。少し時間をください。いろいろ考えてみます」
「いい返事を期待してますよ」



母上の御前を下がってから1時間後。
僕はリゼットとマルコ、シオンと話していた。
リゼットは僕の妹で、神聖ローラ王国の第二王女。
とても優しい子で、いい母親になるだろう。

「兄上なら立派な王になるでしょう。私はそう思います。マルコもそう思いません?」
「ええ。さすがニーナ様。見る目がおありです」

リゼットに賛同するのはマルコ。
僕と同い年(17歳)で、神聖ローラ王国一の魔術師と呼ばれている。
幼い頃から戦場に出ていて、その功績は数え切れないらしい。
半年前にリゼットと会った際お互いに一目ぼれ。
先月から付き合っているらしい。

「お世辞は言わないでくれ……。シオンはどう思う?」
「少し頼りないですが、ダミアン様やセシル様よりは、遥かにマシでしょう」

気持ちイイくらいストレートに言ってくれたのはシオン。
僕の乳兄弟で、赤ん坊の頃からずっと僕に仕えてくれている。
同い年のマルコとは容姿も性格も正反対だが、なぜか意気投合して、刎頚の友になったらしい。
国で5本の指に入る剣士と呼ばれている。
僕なんかには、剣どころか体の動きすら見えない。

「自分が1番よく分かってる。国王なんてガラじゃない。せいぜい……何だ? ノックしてから開けないか」

僕が話している最中に入ってきた侍女は、幽霊を見たような青い顔していた。
震える声で僕に言ったのは、兄上や姉上の来訪。
……来ると思った。
この様子から見て恐ろしく怒ってるんだろう。
当然だ。
できれば顔を合わせたくないけど、そういうワケには行かない。
通すように言う。

「ミレーヌ! 貴様、母上に何と言った!? 貴様などに国王が務まるはずが無いだろうがっ!」
「そうですわっ! 兄上やワタクシを差し置いて国王に名乗りを上げるなど……恥を知りなさいっ!」

部屋に入ってきた兄上と姉上は、あいさつもナシに僕を罵りはじめた。
その顔はリンゴのように赤い。
羅刹や夜叉はこうか……と思うくらいコワイ表情で、あらゆる罵詈雑言を並べまくる。
あまりにも的外れな罵倒に全く怒りが湧かない。
むしろ笑ってしまう。

「何を笑ってますのっ!? すぐに母上にお詫びを申し上げてきなさい! そしてワタクシや兄上に永遠の忠誠を誓いなさい! そうすれば許してあげますわ!」
「セシルさま。落ち着いてください。そう叫んでばかりでは、きれいな声がかれてしまいます」
「そ、そう? そうですわね。そうかもしれませんわ」

マルコが話しかけた途端、姉上は別人のように大人しくなった。
姉上はマルコにほれている。
マルコの顔を遠くから見ただけで機嫌が良くなるくらい。
……マルコとリゼットが付き合っている事を知った時の反応がコワイ。

「どうしてもオレに王位を渡さないなら、ここで斬り捨ててくれるわ!」
「ダミアンさま。やめてください」
「どけ! どかれば貴様から斬るぞ!」

ほえた兄上は本当に剣を抜いて構えた。
その殺気は明らかに本物。
本気で僕を殺す気だ。
僕と兄上の間に身体を入れていたシオンは、ため息をつくと、スラリと剣を抜く。

「待ってください、ダミアン様! シオンもやめるんだ!」
「そ、そうですわ、兄上! いくら何でも、それは……!」

あわてて姉上とマルコが止めに入る。
シオンは超一流の剣士だが、兄上の剣の腕も相当のレベルだ。
殺さずに倒そうとしたら、負けることは十分ありうる。

「わかりました、兄上。明日、母上に申し上げます。それで許してもらえますか?」

僕が王位につかないことを約束すると、ようやく兄上は剣を収めてくれた。
姉上と一緒に満足そうな顔で帰っていく。
後に残されたリゼット、マルコ、シオンは少し不満そうだった。
だけど仕方ない。
僕なんかに国王が務まるワケがない。

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