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黒エリオル 2   エロなし

3KB

「今の蹴りは良かったですよ。まともに食らっていたら危なかったです」
「……ぐふ……ぅ……ぐっ……」

おなかを両手で押さえながら、わたしはフラフラとエリオルに近づいていく。
正直かなり効いた。
魔力で身体能力を飛躍的に向上しているんだろう。
単純な体術のみの私には、あまりにも強すぎる敵。
だけど負けるワケには……あきらめるワケには行かない。
絶対に小狼(しゃおらん)を助ける!

「降参してくれませんか? 確かに小学生とは思えない体術ですが魔法の……うわっ」
「油断したわね! これで………………え? がぶぅっ!」

倒れかかるフリをしながらの足払いが決まり、エリオルに渾身の力をこめた拳をたたきこもうとした瞬間、視界がグルリと回った。
何が起きたか理解するよりも早く、さっきとは比べ物にならない拳が、わたしの下腹部に突き刺さる。
床に倒れた直後に殴られたから、衝撃が100%わたしの身体に。

「申し訳ありません。手加減できませんでした」
「……ぐう゛ぅ……あ゛……ぎ……」

おなかを攻められるのが苦手だったのは昔の話。
腹筋を鍛えに鍛えて、おなかを殴られても蹴られても、ほとんどダメージを受けないくらい強くなった。
……そう思ってたのに。

「そのまま寝ててくれませんか? 今さら言うのも何ですが、弱い者イジメは嫌いなんですよ。小狼君に会いたいのなら、すぐに会わせてあげますから」
「……ぉ……ぅ……。しゃ……しゃお……らん……」

小狼の名前を聞いた瞬間、わたしの萎えかけていた気力が湧き起こる。
……そうよ。
何を弱気になってるの……わたし……。
小狼と木之本さんを助けないと。
わたしと一緒に助けに来た大道寺さんも助けないと。
がんばれ……わたし……!

「まだ戦う気ですか? 戦力差を理解できない愚か者とは思いませんが」
「……う……うるさい、わよ……。かかってきなさい……ほら……何してるの……? あたしがコワイの……?」

何とか立ち上がった私はエリオルの挑発を始める。
わたしの力だけで防御障壁の上からダメージを与えるのは不可能。
カウンターしかない。
カウンターなんて全然やった事ないけど……成功させてみせる!
力を貸して小狼……!

「ふう……弱者の悪あがきほど、見てて悲しいモノはありませんね。終わらせてあげます」
「……き……来なさい……!」

エリオルはまっすぐ私に向かって飛びこんでくる。
もう私に何の力も残っていないと思ってるのか、その表情は余裕に満ちてる。
さっきの動きが嘘みたいに遅い。
……いける。
わたしはエリオルが間合いに入り、拳を突き出した瞬間、全力でダッシュして拳をエリオルの顔面にぶちこんだ。

ミギイッ……!

「がっ……!?」
「……やはりカウンター狙いでしたか。頭部に障壁を集めておいて正解でしたね。貴女に魔力があれば一目で気づいたでしょうが……」
「あ゛ぶっ!」

砕け散った右拳――折れた骨が皮膚を突き破っていた――に気を取られた一瞬のすきを突いて、エリオルは再び私の腹部に拳を入れる。
カウンターに全ての力を費やした私は、その一撃で簡単に崩れ落ちた。
おなかを押さえる事すらできず呻いていると、エリオルが私の右腕を取る。
……な……何?
また殴るの……?
わたしの瞳を見たエリオルは、私の右腕を無造作にねじ曲げた。
曲げてはいけない方向に。

「がばぁっ!?」
「貴女のようなタイプは、意外と屈服させにくいんですよね。だから1度、徹底的に苦痛を教えておきます」
「う゛ぐっっ! ぐがっっ! あ゛ごあ゛っ!」

左腕。
右足。
左足。
まるで流れ作業のように淡々と破壊していくエリオルに、ものすごい恐怖感を覚える。
……こいつ……人じゃない。
人なら……例え極悪人でも……極悪人だからこそ感情を見せる。
機械みたいに人体を破壊するなんて……人じゃない……魔物だ……。

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